新入園の子どもたち
新しい友達が入園してきて1995年度が始まりました。
また新しい夢を背に出発です。
新入園の子どもたちは、いままで生活をしてきた環境と全く違う環境の中へ飛び込んできます。
ご両親の温かい愛情に包まれて、困ったことがあると解決をしてくれる人がいつもそばにいてくれるという生活をしてきた子どもたちが、やさしい保育者がそばにいたとしても、自分一人のことだけを考えてくれる人がいない生活を始めるのです。自分で決めなければならないことがどんどん多くなっていきます。(それは、子どもたちが人間になっていくために非常に大切なことではあるのですが。)けれども、突然、ある日を境にそういう生活をしなければならなくなることは、子どもたちにとってなかなか理解できにくいことなのです。
だから中には納得できずに情緒不安定になる子どもたちもでてきます。子どもたちはそのことを上手に言葉にすることができませんから、いろんな行動でその不安定さを表現します。泣いたり、怒ったり、叫んだり、すねたりしながら自分の心のバランスをとろうとします。わたしたち大人はそのことを解ってあげなくてはなりません。そんな状態の子どもたちをそのまま優しくフワーッと受けとめてあげましょう。
「お母さんがいいよね」「家に帰りたいよね」「泣いてもいいんだよ」と子どもたちの心を解ってあげる言葉を伝えましょう。「泣いてはいけません」「頑張りなさい」は子どもたちの心とは正反対の言葉です。そんな言葉では子どもたちの心は開かないのです。子どもたちは自分の気持ちを解ってくれたと感じた時から、安定にむかうのでしょう。心を解放するということはそういうことなのです。園に慣れればいいと言うものではないのです。子どもたちは諦めからも園に慣れていく場合もあるのです。
細かい心使いで子どもたちと接しなければ、その心はすぐつぶれてしまうのです。本園でも4月11日に入園式がありました。いつも入園式は子どもたちの心の不安定さを考えてできるだけ短い時間で実施したいと考えています。
式場に入ってきた順に適当に並べた椅子にお母さん・お父さんと一緒に座ったところで園長の話があり、保育者の自己紹介があり、保育者が歌を歌って、子どもたちと歌を歌っておしまいです。時間にしたら10分程度なのでしょう。途中で笑い声もおこる、なごやかな入園式ができたように思っています。
子どもたちも入園式は親と一緒なのでほとんど笑顔で座っています。
子どもたちの本当の入園は入園式の次の日なのです。
4月12日が子どもたちが一人で園にいる、初めての日です。当然、お母さんと離れるのがつらくて泣きだす子どももいます。お母さんも子どもと離れるのがつらい方もいます。反対にケロッと登園してきて降園まで楽しそうに過ごすことのできる子どももいます。けれども一番心配なのは、泣くこともできずに我慢して園にいる子どもです。
毎年、こんなタイプのこどもが結構います。つらそうな顔をしているのですが、泣くことができないのです。泣いてはいけないんだと思っているのです。そんな子どもは我慢できなくなった時点で泣き出すのですが、その場合の方が泣く期間は長いように思います。どちらにしても、本人が納得できれば安定にむかう訳です。わたしたち保育者は子どもが納得できるように、できるだけ我慢しなくてもいい状態をつくっていくのが大切な仕事になります。
お母さんと一緒に居たいといって泣いている子どもは、お母さんと一緒に園で過ごせばいいのです。だから、泣いている子どもを、親が居るといつまでも甘えて園に慣れないからと、門のところでお母さんと離れさすのは間違いです。それは子どもの心を無視したやり方なのです。心を育てているはずの幼稚園でこんな場面にあちこちで見られます。
わたしは通園バスの運転をしていますので、バスの乗り場所が子どもたちとの初対面の場となります。わたしのバスでは新しい友達は10人でした。4月12日には2人の子どもが泣きながらバスに乗りました。大部分の子どもたちはニコニコ笑顔で登園してきました。13日には4人泣いていました。「泣いてもいいよ」と言いながら一週間過ごしてきて今は全員が楽しそうに乗車します。
園でも少しずつ遊びが始まっています。
これから始まる1年間を遊びぬいてほしいと思います。自分のしたいことがしっかりと解る子どもになってください。あなたたちが持って生まれてきた素晴らしい感性・能力を大切に守りながら、できるだけ伸ばしていきたいと思っています。
長い期間になりますがお付き合いをよろしくお願いします。
えひめ雑誌 きょういくNOWより
新しい友達が入園してきて1995年度が始まりました。
また新しい夢を背に出発です。
新入園の子どもたちは、いままで生活をしてきた環境と全く違う環境の中へ飛び込んできます。
ご両親の温かい愛情に包まれて、困ったことがあると解決をしてくれる人がいつもそばにいてくれるという生活をしてきた子どもたちが、やさしい保育者がそばにいたとしても、自分一人のことだけを考えてくれる人がいない生活を始めるのです。自分で決めなければならないことがどんどん多くなっていきます。(それは、子どもたちが人間になっていくために非常に大切なことではあるのですが。)けれども、突然、ある日を境にそういう生活をしなければならなくなることは、子どもたちにとってなかなか理解できにくいことなのです。
だから中には納得できずに情緒不安定になる子どもたちもでてきます。子どもたちはそのことを上手に言葉にすることができませんから、いろんな行動でその不安定さを表現します。泣いたり、怒ったり、叫んだり、すねたりしながら自分の心のバランスをとろうとします。わたしたち大人はそのことを解ってあげなくてはなりません。そんな状態の子どもたちをそのまま優しくフワーッと受けとめてあげましょう。
「お母さんがいいよね」「家に帰りたいよね」「泣いてもいいんだよ」と子どもたちの心を解ってあげる言葉を伝えましょう。「泣いてはいけません」「頑張りなさい」は子どもたちの心とは正反対の言葉です。そんな言葉では子どもたちの心は開かないのです。子どもたちは自分の気持ちを解ってくれたと感じた時から、安定にむかうのでしょう。心を解放するということはそういうことなのです。園に慣れればいいと言うものではないのです。子どもたちは諦めからも園に慣れていく場合もあるのです。
細かい心使いで子どもたちと接しなければ、その心はすぐつぶれてしまうのです。本園でも4月11日に入園式がありました。いつも入園式は子どもたちの心の不安定さを考えてできるだけ短い時間で実施したいと考えています。
式場に入ってきた順に適当に並べた椅子にお母さん・お父さんと一緒に座ったところで園長の話があり、保育者の自己紹介があり、保育者が歌を歌って、子どもたちと歌を歌っておしまいです。時間にしたら10分程度なのでしょう。途中で笑い声もおこる、なごやかな入園式ができたように思っています。
子どもたちも入園式は親と一緒なのでほとんど笑顔で座っています。
子どもたちの本当の入園は入園式の次の日なのです。
4月12日が子どもたちが一人で園にいる、初めての日です。当然、お母さんと離れるのがつらくて泣きだす子どももいます。お母さんも子どもと離れるのがつらい方もいます。反対にケロッと登園してきて降園まで楽しそうに過ごすことのできる子どももいます。けれども一番心配なのは、泣くこともできずに我慢して園にいる子どもです。
毎年、こんなタイプのこどもが結構います。つらそうな顔をしているのですが、泣くことができないのです。泣いてはいけないんだと思っているのです。そんな子どもは我慢できなくなった時点で泣き出すのですが、その場合の方が泣く期間は長いように思います。どちらにしても、本人が納得できれば安定にむかう訳です。わたしたち保育者は子どもが納得できるように、できるだけ我慢しなくてもいい状態をつくっていくのが大切な仕事になります。
お母さんと一緒に居たいといって泣いている子どもは、お母さんと一緒に園で過ごせばいいのです。だから、泣いている子どもを、親が居るといつまでも甘えて園に慣れないからと、門のところでお母さんと離れさすのは間違いです。それは子どもの心を無視したやり方なのです。心を育てているはずの幼稚園でこんな場面にあちこちで見られます。
わたしは通園バスの運転をしていますので、バスの乗り場所が子どもたちとの初対面の場となります。わたしのバスでは新しい友達は10人でした。4月12日には2人の子どもが泣きながらバスに乗りました。大部分の子どもたちはニコニコ笑顔で登園してきました。13日には4人泣いていました。「泣いてもいいよ」と言いながら一週間過ごしてきて今は全員が楽しそうに乗車します。
園でも少しずつ遊びが始まっています。
これから始まる1年間を遊びぬいてほしいと思います。自分のしたいことがしっかりと解る子どもになってください。あなたたちが持って生まれてきた素晴らしい感性・能力を大切に守りながら、できるだけ伸ばしていきたいと思っています。
長い期間になりますがお付き合いをよろしくお願いします。
えひめ雑誌 きょういくNOWより